THz Radar: Non-contact physiological sensing

電波と光の中間のテラヘルツ波をレーダ(3次元計測)に応用する研究に取り組んでいます。電波と光の中間の波長を持つテラヘルツ波をレーダとして応用すると、電波よりも分解能が高く、光よりも媒質透過性が高い計測が可能になります。特に、人の胸部に生じる心拍の動きを衣服越しに非接触計測でき、心電図と同期した詳細な動きを捉えられることを実証しました。これにより短時間で簡便に、衛生面やプライバシー上の懸念も和らげながらヘルスチェックを行える可能性が拓かれます。

レーダの重要な要素であるビーム走査に必要なフェーズシフタ、および送受信波分離に必要なサーキュレータをそれぞれテラヘルツ帯で実装するために適した低損失材料が未だなく、レーダの小型化は困難と考えられてきました。そこで、我々はテラヘルツ波の導波路構造に工夫を取り入れ、中央給電構造による励振モードの対称性と、導波路内外の波動結合指向性の対称性とを組み合わせることで、フェーズシフタもサーキュレータも用いることなくビーム走査と検波とを同時に実現できることを示しました。そして、周波数掃引によって得られるデータを処理することで対象物の方向・距離・速度を算出する手法も併せて開発し、レーダとして機能することを実証しました。