テラヘルツ波を通信や計測に応用する上で、空中でビームを2次元走査できることは不可欠ですが、低損失・広帯域な移相器が存在していないテラヘルツ帯においてその実装は未だ困難です。そこで本研究では、テラヘルツ波の2次元ビーム走査を実現する新たな方法を提案・実証しました。
具体的には、2次元空間中に形成されたテラヘルツ波面を漏れ波ビームとして外部空間に放射させ、周波数掃引および導体板勾配を制御することで、2自由度テラヘルツビームステアリングを原理実証しました。まず、上側平板をメッシュ層で置き換えて波動の漏れが生じるようにしました。そして、周波数を掃引することでビームを垂直方向に走査できること、および平板間の相対的な傾斜を制御することで実効屈折率分布の空間勾配によりビームを水平方向に走査できることを示しました。これらを組み合わせることで、ビームを2自由度走査可能なことを実証しました。。
- Kazuto Sato and Yasuaki Monnai. “Two-Dimensional Terahertz Beam Steering Based on Trajectory Deflection of Leaky-Mode,” IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology, vol. 11, no. 6, pp.676-683, 2021.
- Kazuto Sato and Yasuaki Monnai, “Terahertz Beam Steering Based on Trajectory Deflection in Dielectric-free Luneburg Lens,” IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology, vol. 10, no. 3, pp. 229-236, 2020.